今年も華麗な王朝絵巻を繰り広げた15日の葵祭。好天に恵まれたため、平日にもかかわらず観客は約10万1000人(府警調べ)に上った。新緑がまぶしい初夏の都大路で、行列に参加した人たちは晴れやかな表情を見せていた。【木下武、藤田健志】
◇「引き締まる思い」--斎王代・村田さん
第53代斎王代を務めた東山区の料亭「菊乃井」若女将、村田紫帆さん(25)。万全の体調で迎えられるようにと14日は午後10時に寝て、午前5時に起床した。今年25年ぶりに新調された十二単(じゅうにひとえ)に袖を通し、「身が引き締まる思いです」と緊張した様子。先輩の斎王代からは「長時間座るのはつらいので、楽な姿勢で」と助言を受けたという。
天気予報は気になったそうで「週間予報はチェックしました。友達にテルテル坊主をいただいて願掛けをしました」と話し、願い通りの晴天の空にほほ笑んでいた。
◇最高位、堂々と--近衛使代・植松さん
行列で最高位となる近衛使代(このえつかいだい)は、左京区の華道「松月堂古流」家元、植松雅房さん(70)が務めた。銀色の面をつけた白馬にまたがる黒い束帯姿は、行列の中でもひときわ観客の目を引く存在。植松さんは華麗に馬を操って威厳ある姿を見せた。
近衛使代は、天皇の使いである勅使に代わって行列をするのが役目。「源氏物語」では光源氏もこの役を果たしたとされ、本来は葵祭のヒーロー的な存在とされる。現在は旧公家の子孫で作る堂上会(とうしょうかい)の推薦で決まっているが、ヒロイン役の斎王代にスポットライトが当たって目立たなくなっている。
植松さんは「今日はお天気に恵まれて良かった。行列が無事に終わるようお務めを果たしたい」と淡々とした表情を見せていた。
◇「いい思い出に」--原口さん親子
左京区八瀬秋元町の会社員、原口博嗣さん(49)は、次男で八瀬小6年の極光君(11)と親子で参加した。博嗣さんは「最後まで歩くのはつらいが、子供と参加するのは一生のいい思い出になる」と笑顔を見せた。
八瀬地区の人々は、南北朝時代に足利尊氏に京都御所を追われた後醍醐天皇を御輿(みこし)に担いで助けたとされる。この縁で宮中の重要な儀式にかかわっている。葵祭にも毎年参加しており、博嗣さんも今回で3回目の参加。
極光君は「ちょっと暑いけど参加できてうれしい。友達も一緒なのでちゃんとやらないと」と話した。
- May 29 Thu 2008 00:28
葵祭:華やぐ 初夏の都大路に雅(その2止)
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