◇共存のため対策を 信大教授ら生態調査
 観光客の目撃例が目立つ長野市の戸隠森林植物園に出没するツキノワグマは、ミズバショウの実が落ちた7月から8月に最も多くなることが研究者の生態調査で分かった。松本市で開かれた信州ツキノワグマ研究会の総会で、信州大教育学部の渡辺隆一教授らが報告した。渡辺教授は「観光客が最も多い時期と重なる。関係機関による詳細な調査や対策が必要だ」と注意喚起している。【武田博仁】

 ◇朝、夜に採食目的
 渡辺教授と大学院生らが06、07の両年、クマの痕跡や食性、自動撮影装置による調査を実施した結果、クマの足跡やフンは7月に多かった。6~7月に採取したフンはミズバショウ種子の出現頻度が90%で、夏季にミズバショウの実の採食のため、同植物園を集中的に利用している実態が浮かび上がった。

 ミズバショウを調べたところ、実の落果は7月がピーク。自動撮影の結果と比較すると、落果終了直後の7月下旬~8月初めにクマの出現が最多となる傾向が認められた。

 この時期の園内のクマの動きを見ると、人が多い中心部の木道周辺では深夜に、人が少ない外周路周辺では朝方と夕方に活発に活動し、クマは人が多い時間帯を避けていることも分かった。出現個体は「数頭から十数頭」と推定している。

 渡辺教授は「植物園を訪れる人の半数はクマがいることを知っており、魅力にもなっているが、情報提供が不十分」と強調。クマとの共存のため、出没時期・時間などを含めた注意の呼びかけ、クマの行動調査や監視などの対策を提言している。


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